2018.7.14_16 前穂高岳 北壁~Aフェース

Alpine

【日程】2018.7.14~16 

【場所】前穂高岳 東壁 

【メンバー】Ken、Mitsu

【種別】アルパインクライミング(本チャン) 

【目的】前穂高岳 東壁を登りたい 

(報告者:Mitsu)

あらすじ・・・

今回は奥又白ベースで2班(前穂高 北尾根班・北壁~Aフェース班)に分かれて山頂で落ち合うというまさしく山岳会っぽい計画。

全体の流れは本編を・・・

ここでは、「北壁~Aフェース」の記録をご紹介・・・

そもそもはKenが前穂 東壁をどうしても登りたい!という執念から生まれた山行。

一番の希望は「C・B・Aフェース」をつなげて山頂に詰めたいというのが本音だったが、現代ではこのルートは岩屑に埋もれており登攀は不可・・・ならば「古川ルート」を!

という計画だったがこれも98年の崩壊後、クレードはかなり上がってかなりしょっぱい模様・・・&ここ最近の記録が少なすぎるということでこちらも断念・・・

山頂に詰め上げるルートとしては「北壁~Aフェース」が唯一記録があり登れそうなルートだったため行くこととなった。当会では山頂に詰めるという美学を追い続けているためそういった意味でもこのルートは申し分ない。

Day 1

初日に奥又白まで上がってベースを・・・

新村橋から奥又白へ目指す前穂高が美しい。

正面が松高ルンゼ。

アプローチは中畠新道(松高ルンゼの右側の尾根)へ

その日に全貌が見渡せる場所まで上がって偵察・・・

奥又白池周辺のベース

前穂全景その1

前穂全景その2

北壁全景

C沢はとっても微妙、2箇所ほど切れてるような感じがするが真相は上がるまで分からない。あとは明日状況を見ながらということで切り上げて宴会。

奥又白池周辺には私たち含めて6パーティ。

うち、

北尾根 当会含め2パーティ

北条新村ルート 3パーティ

北壁~Aフェース 当会含め2パーティ

というのが情報収集した結果だ。

まぁ2パーティであればどうにでもなるまい、ということで一安心。

Day 2

3時起床で朝食を軽く済ませて、明るくなりかけた頃の4時半頃行動開始。

まずはC沢を目指す。

まもなく夜明け。

八ヶ岳、南ア方面は雲海

モルゲンロートに染まる前穂高岳

ご来光!!

雪渓を通過してC 沢へ

写真中央はB沢、インゼル挟んで右側がC沢

CSが見える。

雪渓を3箇所ほどトラバースしてC沢へ・・・

前のパーティは雪渓を降りて右側の岩を・・・

私たちは、右の尾根を高巻き。

高巻き中

その後もなかなかの傾斜で体力が奪われる・・・

昨日の偵察時に見た薄そうな場所はご覧の通り。

おそらく数十センチの厚さで繋がっている程度でここを登ることは不可能だ。

前にいたパーティは右岸の岩場を高巻き難儀していた。同じところを登っていもいいがまだまだ時間はかかりそう。

Kenは右岸に下りて雪渓の状態を偵察・・・

「切れ目からなんとか登れそう」とのことで登ってみたらすんなり越えられた。しかし微妙なバランスと3mほどの雪壁をピッケル1本で登るのは滑ったらアウトなので少々怖かった。。

それでもKenのナイス判断だ!

事前の収集した記録では「C沢の上部でCB間のインゼルに上がってB沢へ」との事だったのでその情報どおりに、C沢の雪渓の切れ目からインゼルにロープを出して潅木を掴みながら上がる。

インゼルから見る前穂

山頂下、崩壊した跡が白く見えるのが古川ルート。

右の赤いところのフェースがDフェース

その間に北壁があるがここからでは分かり難い。

B沢には懸垂で降り立つ

なかなかしびれるロケーション!

B沢を見下ろすとこんな感じ。

B沢を詰めていざ北壁に・・・

雪渓の末端が取り付き付近

(このときは、ルートが判別できず、大休止を取りながらルートの確認を)

壁を見上げるアニキ!!

ルートの判別がつかない。事前で見た記録と雪の様子が違いルートが見えてこない・・・

実際には北壁の取り付きは雪渓の中に埋まっており見えなかった。

(雪のせいで想像していたよりも奥にラインが見つかった)

1P目の岩溝を仮定しラインをつなげていくと松高カミンと思われる岩が分かりラインが繋がった。

ここに違いない!

しかし・・・途中で抜かしたパーティは別のところ(このパーティの取り付きはおそらく朋翔ルート)に取り付いた。

ルートが分かればと思い、B沢を末端まで詰めるが・・・最後の最後にまたまた、細い箇所が・・・それに加え雪渓の傾斜もかなり急だ。

渡ってきた雪渓を上から見下ろすとかなりきわどい感じ・・・

実際には右側は1m以上の厚さがあったので大丈夫だと判断したが振動は与えられない。

まして勾配もきつく壁に感じられる斜度・・・生きた心地のしない数分間だった。

これが、もう少し気温が上がった後ならやばかっただろうな・・・

雪渓から壁に移るとこんな感じⅡ級程度だったのでフリーで。

トポ上の2P目のピンでセルフを取って登攀準備をする。

さぁ、登攀開始。

今回はKenの念願のルートということと、偶数ピッチに高難易度のグレードだったので珍しくKenはツルベを承諾していた。

ここは(トポ上の)2P目はわたしMitsuのリードで登攀開始

1P目 (体感) Ⅳ+(トポ上の2P目)Mitsuリード

見た目は簡単そうだが、ボロボロ加減が半端なくどれをもっても崩れてしまいそうな感じ。

また、ガバは少なく手が微妙なホールドばかり・・・それに加えランナーが取れず軽く10m以上のランナウト・・・アドレナリンが大放出でワクワクが止まらない!

松高カミンは難しくないが、やや被り、ホールド甘め・・・で簡単でもない。

That’s 「Ⅳ+」ピッチ

松高カミンの抜け口から・・・・・(Kenが)ひょっこりはん!!

2P目 (体感) Ⅲ(トポ上の3P目) Kenリード

難しくないがここもランナーが取れない。取れたとしても効くかどうか分からないような岩かピナクルに巻く程度で絶対に落ちられない。ここでもランナウトは10m超・・・

2P目 (トポ上の3P目)の出だし。

北尾根 4峰の人が見える。高度感もあってきもちいい!

どの岩も信用ならん・・・

3P目 (体感) Ⅳ+(トポ上の4P目) Mitsuリード

チムニー?スクイーズチムニー?の登り。手も甘く足もない。凹角チックなのでステミングはかろうじて有効。お助け紐が垂れていたがこれは意地でも使わない。

多少上がり手の甘いハング越えがあるが付近にランナーがない・・・

カムの#2が使える隙間がありそれもバチ効きだったから思い切って上がれた。

ここはカムに本当に助けられた。

その後も、いつ崩れるか分からないスタンスとホールド。延々とつづくランナウト地獄、そして見事な高度感で脳汁大量放出。

ただ・・・技術的に難しいわけではない・・・あくまでも不安定さとのメンタル的な戦いが終始つづくピッチ。Aフェースの手前まで。

Aフェースの基部で終了。終了点がなく信用できる岩も少ない。

途中微妙なバランス?岩が信用できなくて?このピッチは(リードの)登攀途中で写真は撮れなかった・・・

このピッチの核心を越えて上がってきたKen。ここからは歩きのセクションだが浮石ふが多いので要注意。登ってくる途中に岩にロープが引っかかってKenを殺しかけてしまった・・・ごめんなさい。。

4P目 (体感) Ⅳ(トポ上の5P目) Kenリード

ここからは岩は硬くここまでとは比べ物にならないほど岩が安定している。

快適なクライミングが続くが部分的にはいろんな意味で「マジか・・・」というような場所もあり楽しめる。45mほど出したところでピッチを切る。

取り付くと見ため以上に立ってる

Kenちゃんガンバ!!

(下山時に)稜線から見るAフェース。後続Pの人がいるの分かるかな?

5P目 (体感) Ⅳ(トポ上の6P目) Mitsuリード

Aフェースは大きくどこを登っても登れてしまう。それに加えて至る所に腐ってはいるがハーケンが打たれているので気分的には楽だ。

とは行ってもⅣはあるので油断はできない。ハーケンも指でつまんで抜けてしまうようなものもあるのでしっかりと見分ける必要がある。凹各沿いに登り結構シビアなパートもあり楽しい登攀となった。

※ もう、気分は終了モードで写真撮ってません。

5P目 (体感)Ⅱ Kenリード

ロープが重たくなったので山頂の少し手前で一度切って最終の(ほぼ)歩きはKenに任せて山頂までロープを延ばして終了。※ おなじく、気分は終了モードで写真撮ってません。

天気もよく山頂は多くの登山者で賑わっていた。

山頂から北尾根班は確認できた。

私たちが山頂についた頃に3峰の頭に上りきったところのようだ。

2峰の懸垂中の山登会のパーティ。

山頂目前で!北尾根組のMika、Ushi、Big”D”

あとちょっと!

全員が落ち合い山頂で握手を交わした。。

北壁~Aフェース 組

北尾根 組

同じ山岳会で同じ山頂を目指して別のルートを登る。

これはなかなか楽しくとてもいい経験となった。

しかし、「北壁~Aフェース」・・・

生きた心地はしなかったが、冒険的なルートで、総合力が試されるルート。

これでようやく念願の前穂高東壁を登ることができた。

さてさて、登ったのはいいがA沢の下降が本日の核心になるだろう・・・

下山の様子は本編にて・・・